「タコピーの原罪」の感想・考察をする話

タコピーの原罪

タコピーの原罪とは?

どうもPすけです。

子供が一人で鼻くそをほじれるようになったことを喜んでいます。

それを尻目に今回は「タコピーの原罪」の話です。

「タコピーの原罪」とは、タイザン5さんによる漫画です。2021年の年末ごろから『少年ジャンプ+』で連載されていたのですが、すでに完結。上下巻で単行本化されました。SNS等で話題になっていたのは知っていたので、単行本化を機に一気読みしました!

ちなみPすけは電子書籍派なので、今回はU-NEXTの余ったポイントでちゃっかり購入してしまいました・・・

横道に外れましたが、「タコピーの原罪」のジャンルとしては、俗に言う「タイムリープ」もの。
バッドエンドを回避するために、何回も時間を遡ってやり直しをしようとする話です。

結論として、非常に読み応えがあって面白かったです! 上下巻に収まらない作者の熱量を感じました。と、同時に読んでいて気になる部分もあったので、Pすけなりに考察をしていきたいと思います!

※以下、ネタバレもあるのでご注意ください・・・

登場キャラクターについて

主な登場キャラクターを4人(3人と一匹?)です。考察する上で、それぞれ簡単に紹介。

しずかちゃん

地球生まれの地球人。小学4年生。いじめられっ子。後述のタコピーにパンを譲るなど優しい女の子。両親は離婚しており、ママと愛犬のチャッピーと暮らしている。しずかちゃんのママはネグレクト状態となってしまっているので、しずかちゃんにとってはチャッピーだけが心の支え。
しずかちゃんのママと後述のまりなちゃんのパパは親密な関係。

タコピー

ハッピー星生まれのハッピー星人。とてもタコっぽい。他の登場キャラクターと比較してだいぶデフォルメされた絵柄。本名は別にあるが、しずかちゃんがタコピーと名付けた。
ハッピーを広めるために地球にやってきたが、地球で捕獲されそうになり逃げ回っていたところをしずかちゃんに助けられる。その恩もあってか、しずかちゃんをハッピーにするために奮闘することになる。

まりなちゃん

地球生まれの地球人。小学4年生。しずかちゃんをいじめている。まりなちゃんのパパとしずかちゃんのママが親密な関係のために、家庭崩壊中。まりなちゃんのママはまりなちゃんに依存しており、それが行き過ぎて叩くなどの虐待を行ってしまっている。そんな鬱憤を全てぶつける相手として、しずかちゃんをあの手この手で肉体的・精神的に追い込もうとしている。

東(あずま)くん

地球生まれの地球人。小学4年生。しずかちゃんに好意を寄せている。医者の子であり、母親の期待に応えようと勉強を頑張っているが、さらに優秀な兄である潤也じゅんやと比較されて育つ。頑張っても兄のように認められず、自己肯定感が低い。テストの点数が低いとおやつを抜きにされたりなど母親からの愛情も不足気味。そんな「お母さん」にどことなく似た容姿のしずかちゃんに好意を寄せているのは、母親へ抱いている感情の裏返しか。

Pすけの考察!

すでに読んだことがある方向けの記事なので、ストーリーの詳細は省いてPすけが気になった部分に絞って考察していきます!

考察①:ハッピー星の掟とは?

まず第1話で、タコピーが使うハッピー道具(ドラえもんのひみつ道具的なもの)に関する掟が明示されていましたね。それは、「ハッピー星人の目の届く範囲で道具を使わせること。つまり、他者に道具の使い道を委ねないことを意味していました。結局、タコピーはその掟を破り、最初の悲劇が起きてしまったのですが・・・

ただ、それ以外にも何か重要な掟があったようですが、それは明示されていません。
その内容を散りばめられたヒントから探っていきたいと思いますが、そのうちPすけが重要だと感じてヒントは以下の2点。

  • 第13話にて、ハッピー道具を使うためにひとりでハッピー星に帰ってきたタコピーに対して、ハッピーママ(タコピーの母)がそれは重要な掟破りである旨を伝えました。
  • 第15話にて、しずかちゃんとタコピーが胸の内を曝け出して「おはなし」することで、和解しました。

「おはなし」をすることの大切さは、この物語の中で繰り返し説かれているのですが、それに加えてひとりでハッピー星に帰ってきたことを咎められています。

そのことから察するに、ハッピー星の掟とは・・・

「おはなし」を放棄しないこと

と、Pすけは考えます。

第13話にてタコピーが咎められたのも、他者との「おはなし」を放棄してひとりでハッピー道具で解決しようとした為だと考えられます。

ハッピー道具に関する掟もそれに関連していて、他者にハッピー道具を委ねてしまうことで「おはなし」をする余地が失われてしまうことを恐れてのことだと思います。

ハッピー星の掟については以上です。

考察②:原罪とは?

続いては、タイトルにもなっている「原罪」についてです。

その考察を進めるにあたって、まずは「原罪」の意味合いを簡単にまとめたいと思います。

  • キリスト教において、アダムとイヴが神に背いて禁じられた知恵の実を食べたこと
  • アダムとイヴの子孫である全人類は神に背いた罪を脈々と受け継いでいること

上記2点がこの考察のポイントとなります。

Pすけが思うに、前述の登場キャラクターは4人とも原罪を背負っていますが、タコピーとその他3人の子どもたちとでは、その意味合いが異なります。

タコピーの原罪

タコピーの原罪はしずかちゃんたち地球人と交流することで知恵を身に付けたことだと思います。
すなわち、タコピーが他3人との交流の中で善悪の分別(人を殺すことの是非など)を知ったこと。それが原罪です。

恐らく、ハッピー星にはそのような善悪の分別という概念が無い(そもそも必要ない)と思われます。
第13話にてハッピーママからタコピーが咎められた際、タコピーはハッピーママを叩いてしまいますが、そのことに対してハッピーママは「どうしてそんなに強く触るの?」という反応でした。このことから、ハッピー星では物事は善悪に分かれておらず、すべてが善いこととして見られる(=一面的な見方)概念に支配されていると考えられます。

それが、地球人との交流の中で善悪の分別を手に入れ、他者の中にも善と悪のように一面的では無い多面的なものを見出すことができるようになったタコピーはハッピー星人の中では明らかに異物の存在となってしまいました。

最終的にタコピーはハッピー星にも戻れず、その存在も消えてしまいますが、それは知恵の実を食べたことで楽園を追放されたアダムとイヴに重なるところがありますね・・・

しずかちゃん、まりなちゃん、東くんの原罪

しずかちゃんたち地球人3人の原罪の意味するところは、親から子へ受け継がれるものだと思います。
つまり、3人とも親との関係は良好では無いのですが、その親の性質や行動が子へ影響を与えてしまっているということです。

この見解の根拠は、まりなちゃんの行動にあります。

まず第2話で、まりなちゃんはしずかちゃんに対して「寄生虫」と呼びかけます。この寄生虫発言ですが、実は第5話でまりなちゃんのパパがママに対して放つ暴言でもあります。

また第12話にて、タコピーにまりなちゃんに対して「いいお母さんになるよ」と話しますが、問題はその発言の背景です。
まりなちゃんはタコピーに対して日常的に叩く蹴るなどの扱いをしていましたが、同時にまりなちゃんはママから虐待を受けています。それに対してタコピーは「ママの真似をして子育ての練習をしている」と、まりなちゃんの行動を理解します。
その上での「いいお母さんになるよ」発言なので、まりなちゃんはいつの間にか自らを虐待する母親と同様の行動をとるようになってしまっていたのです。

このように、まりなちゃんは親の影響を受けて、その性質・行動を受け継いでしまっている存在として描かれています。

他の子どもたちも同様です。
あずまくんは母親の影響で著しく自己肯定感が低下してしまい、兄である潤也じゅんやへは嫉妬を抱き、しずかちゃんとはある種の依存関係を構築してしまいます。
しずかちゃんも物語当初に見せた優しさだけでなく、目的のためには手段を選ばない側面も判明しましたが、それは母親のネグレクトにより「自分で何でも解決しなければ」という思いが強くなったためだと考えられます。

以上から、親の負の側面(罪と言ってもいいかも)の影響を受けて子もまた負の性質・行動を引き継いでしまう「負の連鎖」こそが、地球人である3人が抱える原罪だと考えます。

結果的にタコピーの存在がきっかけとなり、その負の連鎖が断ち切られるという最後だったので、物語的にはハッピーエンドで良かったな〜と思います。(タコピーは消えてしまったけど、日常の中の小さな幸せに溶け込んでいそうな雰囲気だったので、そこも含めてハッピーエンドと捉えています。)

まとめ

考察はさておき・・・

改めて、この漫画めっちゃ面白かったです!

他にもいくつかハマっている漫画があるので、今度記事にしてみたいと思いまーす。

おわり。

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